NAGANO SDGs PROJECT主催
実施報告
団体名: Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)
掲載日:2024年12月03日
2022年11月25日(金) 出前授業を実施しました。
講師 :Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)川口真実氏
演目 : SDGsの達成に向けて、私たちにできること
受講者:篠ノ井高校犀峡校生 10名
■プロローグ
「セーブ・ザ・チルドレン」は、すべての子どもたちが持つ『子どもの権利』が世界中で実現されることをめざして100年以上活動している国際的なNGO(非政府組織)です。日本を含む約120カ国で、子どもの支援活動を展開しています。アドボカシー(政策提言)部で子どもの権利やSDGsに関する政策提言、普及・啓発活動を担当されている川口さんは、これまでオンラインでは何度もNSPの出前授業の講師を務めていただきましたが、今回が初めての「リアル授業」開催となります。山梨県で過ごした中学・高校時代に英語に出会い、留学を経験しながら国際活動に興味を深めていったという川口さん。本日はどんな授業になるのでしょうか。
■SDGsって何だろう
はじめに、川口さんはSDGsについて生徒たちの認識度を聞きました。
1)とてもよく知っている、2)なんとなく知っている、3)聞いたことある、4)初めて聞いた…大多数の生徒が「なんとなく知っている」に手を上げました。川口さんはSDGsについて、わかりやすい説明から今日の講義をはじめました。
・SDGs(Sustainable Development Goals)=持続可能な開発目標
今、世界ではさまざまな問題が起きています。たとえば気候変動、紛争、難民、格差の広がりなど、みんなで解決しなければいけない課題がたくさんあります。Sustainable=持続可能ということは「続けることができる」ということ。今の自分のことだけでなく、2030年、みんなが24歳くらいになったとき、そしてその先の未来になっても私たちが生きられるよう、今世界で起きている問題を解決していくことを目指し、世界中で話し合われた目標(Goals:sは複数形)が、SDGsです。
・SDGs の17のゴールは、4つのグループに分けられます
*1~6は「水」「食べ物」「お金」といった、生きるのに必要な社会サービスの課題に関するゴール。
*7~12は「エネルギー」や「産業」といった経済的課題に関するゴール。
*13~15は地球環境の課題に関するゴール。
*16~17は平和や、紛争の解決、そして1~15までの目標達成に必要な課題に関するゴール。
世界全体で取り組むべきさまざまな分野の課題を、SDGsとして1つにまとめたことはSDGsの大きな特徴です。
ここで川口さんは生徒たちに聞きました。「17あるゴールのうち、気になったのは何番?」
指名された生徒からは、それぞれ「11番:台風とか災害が毎年起きているから」「3番:皆が安心して教育を受けられるように」といった意見が出ました。川口さんは一人ひとりの発言にていねいに耳を傾け、共感しながら、それぞれの意見を確認しました。
■私たちにできることって何だろう【グループワーク】
次に用意されたのは、2つのストーリーが書かれた紙。内容を読んで、どちらについて話し合いたいかグループで選びます。
1つは、イエメン共和国に暮らすリマさんのストーリー。紛争によって家を失い、今は家族で洞窟に住んでいるリマさん。食事もままならない状態でしたが、最近学校に通えるようになったのでうれしいという気持ちと、将来は医者になりたいという希望を持っています。
もう1つは、宮城県石巻市のひよりさんのストーリー。東日本大震災で被害を受けた直後は自分にできることは何もないと思っていましたが、復興の取り組み「石巻市子どもセンター らいつ」の設立に携わり、将来のこと、復興のこと、あらためて考えるようになったというお話です。2つのグループは、それぞれリマさんとひよりさんのストーリーを選びました。
まず、個人でそれぞれのストーリーを読み、ワークシートに記載されたいくつかの「気持ち」の中から、自分の気持ちに近いものに〇をつけ、なぜそう思ったかを発表し合います。「人と違う意見でいいんです。自分が思ったことを素直に発表してください」という川口さんに促され、生徒たちはグループのメンバーに向けて、「生活の質が低いままなんて『心配だ』」、「たくさんの人が生活に困っていて『かわいそう』『悲しい』」といった意見を発表し合いました。
さらに、各ストーリーの内容に対して「問題だと思うところ」を青いふせんに、「良いと思うところ」をピンクのふせんに書き出します。そしてそれが該当するSDGsの番号は何番かグループで話し合い、黄色いふせんにまとめながら模造紙に貼っていき、最終的には「自分に何ができるか」課題の解決を実現するためのアイデアを考えます。
たとえば、学校に通えない子の「医者になりたい」という願いはどうしたらかなえられるか考えてみると、「お金」や「モノ」による支援もあるし、「ボランティア」で実際に現地で教育を支援する方法もあるのでは、という具合です。色とりどりのふせんが貼られた賑やかな模造紙のうえで、いろいろなアイデアが飛び交いました。
最後に、どんな話し合いをしたのか、隣のグループに模造紙を見せながら発表してもらいました。役割分担をしながら堂々と発表できたので、お互いに拍手を送り合いました。
■まとめ
今回の授業のまとめに、川口さんはみんなにメッセージを伝えました。
「今日は、みなさんが普段あまり考えないことを考えてもらったと思います。SDGsは遠い話のように感じるかもしれないけれど、自分たちにできることはあるんです。勉強会やSDGsに関連する地域の活動に参加するとか、ひよりさんやリマさんのような子どもたちへの支援も行っているセーブ・ザ・チルドレンのような団体に寄付するとか、『自分だったらこんなことができる』というアクションをぜひ考えてみてください。私たちNGOもSDGs達成のためにさまざまな活動をしています。高校生の皆さんも、一緒に取り組みをすすめていきましょう!」
「人と違っていい」「自分で考える」「考えたことを表に出す」今日、川口さんが繰り返し教えてくれた大切なポイントです。今回受講した犀峡校の生徒たち、これから何かの行動のきっかけにしてくれるといいですね。