ゲームで学ぶSDGsセミナー
実施報告
WEB講座団体名: 特定非営利活動法人長野県NPOセンター
SDGsが大事にしている考え方を学び、地域活性化/地方創生に活かす方法について、ゲームを通じ参加者全員が対話し、ともに考え、持続可能なまちづくりを体感していきます。SDGs de 地域創生ゲームはNPO法人issue+design と株式会社プロジェクトデザインが共同開発した「地方創生」と「まちづくり」を科学(Science)するゲームです。
※10分以上の遅刻をされる方は見学のみとなります。予めご了承ください。
開催期間:
2019年8月27日(火)13:30~16:30
会場:
信毎 長野本社2F 講堂
掲載日:2019年08月27日
8/27(火)信毎長野本社2F講堂にて、SDGsが大切にしている考え方「誰ひとり取り残さない」「経済・社会・環境の調和」についてカードゲームを通じて学び、SDGsの観点から「地方創生」を体感・体験しようという講座が開催されました。
人口減少に悩まされ活力を失いつつある仮想都市・N市を「人口」「経済」「環境」「暮らし」の4つの観点から住みよいまちに変えていく、全員参加のゲームのはじまりです。
参加者の皆さんは、あらかじめテーブルごとに「行政職員」「個人事業主」「IT事業経営者」などの職業チームに分かれています。各チームにはそれぞれ、SDGs17の目標にまつわるミッション(「志」)が与えられています。
ミッションを達成するためには、必要な「お金カード(単位はSDGs)」と「ヒト資源カード」を集めて、数々の「プロジェクト」を遂行しなければなりませんが、必要なカードが手元にあるとは限りません。例えば、「行政職員チーム」はお金が豊富にあってもヒト資源がない、「一般市民チーム」はヒト資源があってもお金がないといったように、チームごとに与えられた資源は違います。そこで、他のチームと協力・交渉しながら、必要なお金と資源を調達しなければならないのがこのゲームの醍醐味。交渉には一切ルールがなく、チーム同士で話し合って決めてよいとのこと。さて、どんな展開になるのでしょうかー。
ゲーム開始直後は皆さん戸惑った様子でしたが、徐々にそこかしこでカードの交換や交渉がはじまりました。
「クリエイターカードと教師カードを交換しませんか?」
「このプロジェクトを達成したいので、大企業カードを1000SDGsと交換してください」
という物々交換やカードの売買からはじまり、中には、
「人口増加に貢献しそうなプロジェクトを3つ以上遂行しますので、1億SDGsを貸してください!」と豊富な資金を持つ行政職員チームに融資や補助金を申請する強者たちも登場…!現実社会さながらの高度な駆け引き(?)が会場中で繰り広げられました。
プロジェクト遂行に必要なお金とヒト資源が集まったら「事務局」に持っていきます。
事務局からはプロジェクト遂行の対価として、新たなプロジェクトカードやお金、ヒト資源カードが与えられます。
また、プロジェクトカードの中には「人口」「経済」「環境」「暮らし」各々のパラメーターを上げるカードが何枚か存在します。各パラメーターが少ないと資源が揃ってもプロジェクトが遂行できない場合があるため、ゲーム参加者はプロジェクト遂行と同時に全体のパラメーターを上げることも考えなくてはいけません。
事務局でパラメーターが上がることが分かるとその都度、大きな歓声が上がっていました。
ゲームも中盤戦にさしかかり、要領を得た各チームは次から次へとプロジェクトをまとめては事務局へ。そして事務局からもらった対価を元手にさらに交渉、交渉と、時間を追うごとに会場はさらにヒートアップ!各パラメーターも大きく伸びを見せ、最終的には全9チーム中8チームがミッションをクリアすることができました。
ゲーム終了後の振り返りで、ミッション達成の要因について聞かれた参加者から、次のような意見が出ました。
「他チームとの積極的な情報交換が資源のマッチングやプロジェクト遂行につながった」
「自分たちのことだけでなく他のチームの課題は何かを把握し、Win-Winな条件を心掛けることで交渉がスムーズに進んだ」。
それを受け、ファシリテーター役の長野県NPOセンターの山室さんからは「現実社会では、周りの企業や行政、市民がどのような資源を持ち、何について課題に感じているかはなかなか見えづらいもの。ゲームでは積極的な情報収集が功を奏したように、現実でも『対話の場』を意識的に作ることが必要です」
同センター・小林さんは「ほとんどのチームがミッションを達成できたのは、パラメーターが示す通り、経済・環境・社会のバランスがとれていたから。誰ひとり取り残さず、みんなが良くなるにはどうすればいいかを考えることが、結果的に自分たちの課題解決につながることを実感していただけたのではないでしょうか」と締めくくりました。
今後ますます人口減少や資源の枯渇が懸念される社会で、お互いの課題を共有し、それぞれが持つ資源をシェアしていくことがSDGsの達成や住みよいまちづくり実現のカギとなりそうです。ゲームを通して、参加者全員が現実社会で生かせる気づきを多く得る貴重な機会となったのではないでしょうか。