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長野SDGs 地域防災プロジェクト めざせ!「逃げ遅れゼロ」防災・ラジオ工作教室

2024年08月30日

信州大学工学部と地域防災減災センターの主催で、災害時に逃げ遅れないためのノウハウを学ぶ防災教室が、7月20日(土)・8月10日(土)の2日間にわたり開催されました。

同大の長野(工学)キャンパスが会場となった7月20日(土)は、小学校4~6年生の児童19名が参加し、自分たちが水害に遭った時の避難行動計画「マイ・タイムライン」の作り方を学んだほか、災害状況の情報収集に役立つラジオの工作を体験しました。

 

【川の氾濫から命を守れ!】

まずは、同大の工学部水環境・土木工学科の吉谷純一教授のお話を聞き、災害時に逃げ遅れが発生してしまう理由と事前の避難計画の必要性を学びました。

県内各地で河川の氾濫や土砂災害が発生し、大規模災害となった令和元年東日本台風(台風第19号)。当時、避難情報は多くの人に届いていたものの、「きっと大丈夫だろう」「みんなと同じ行動をとろう」という人間の心理がマイナスに働いてしまい、逃げ遅れなどによる救出者が1,700名以上にのぼったそうです。吉谷教授は、「避難に関する情報や計画がないと、危ないことに気がつかず、逃げ遅れる危険性があります。だから事前に避難行動計画(マイ・タイムライン)を立てることが大切です。またこれを作成する時は、大人に任せきりではなく、子どもも主役になって一緒に考えましょう」と呼びかけました。児童たちは、さっそく「逃げキッド」という国土交通省監修の小学生向けツールを使用し、FRICS(一財河川情報センター)の森野香織参事と有友春樹副参事のリードで、マイ・タイムラインの作成に入りました。

 

STEP①自分の水害リスクと避難場所の確認

今回は長野駅の近くに自宅があると想定し、水害時の避難行動をみんなで考えます。まずは、川が氾濫した場合の浸水の深さや水が引くまでの時間などの水害リスク、車やペットの有無などの家庭状況と避難先を確認してチェックシートに記入し、情報を整理しました。洪水ハザードマップや浸水発生のシミュレーションVR映像を見た児童は、「浸水深が0.5~3mってことは、逃げ遅れたら大変だ!」「駅前の陸橋の高さまで浸水するのか…」と、水害の危険性と早急な避難の重要性を感じた様子でした。

 

STEP②タイムラインの考え方を知ろう!

洪水は地震災害とは異なり、時間の経過に従って、台風、雨、川の水位と注意すべき情報が増えていくもの。次は、資料を見ながら台風の発生から河川の氾濫が起こるまでの状況を確認し、自分の行動が書かれたシールを、その時々の状況に合わせて並べ替えていきます。有友さんは「備えの順番は人によって違います。自分の状況にあった順番を、自分で考えておくことが大切です」と説明し、児童たちはそれぞれが余裕を持って、慌てずに行動できる順番を考えていました。

 

STEP③『マイ・タイムライン』をつくってみよう!

必要な情報が揃ったところで、いよいよ仕上げに入ります。「備えまでの時間」「行政から発信される情報」「台風の発生から河川の氾濫が起こるまでの状況」が時系列に書かれた表に、STEP②で考えた順番でシールを貼りました。ここに「1週間分の薬を病院でもらっておく」「携帯電話を充電する」など、自分が必要だと思う備えを追記すれば、オリジナルのマイ・タイムラインの完成です。

今回の例題を「自分の家に置き換えたマイ・タイムラインを作ってくること」が次回までのミッション。児童からは、「災害に備えて、日々避難の準備をすることが大切だと思いました。自分だけのマイ・タイムラインをがんばって作ってきます」という感想が聞かれました。

 

【ラジオを作ってみよう】

後半は、子どもたちお待ちかねのラジオ工作の時間です。日本無線株式会社のスタッフの皆さんと信州大学工学部の学生にサポートしてもらいながら、オリジナルのAM・FMラジオを製作しました。

まずは、ボリュームやLEDなどの部品を回路基板にはんだ付けする作業です。「はんだごてを使うのは初めて!」と慣れない作業に苦戦する様子の児童たちでしたが、「小手先を基板に5秒当てたら、はんだを押し当てて離す」の要領で何度か練習するうちに、部品をきれいに接着できるようになりました。

電波を受信するアンテナとして、専用の枠にエナメル線を隙間が空かないようぐるぐると巻き、クモの巣のようなスパイダーコイルを作りました。15mのエナメル線を巻き付けるのは想像以上に大変な作業のようでしたが、「上手にできているよ」とスタッフの皆さんに励まされながら、夢中でものづくりに没頭する姿が印象的でした。

部品を組み立てて、約1時間半でオリジナルラジオが完成!さっそく周波数を合わせてラジオを聴いてみると、相撲中継やラジオ番組が流れて、「聞こえたよ!」と子どもたちは顔をほころばせて喜んでいました。またある児童からは、「災害に遭った時、このラジオを使って情報を集めたい」という声もきかれ、「命を守る防災」について、わかりやすく楽しく学んだ子どもたちの防災意識の高まりを感じられた1日目となりました。

 

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