NAGANO SDGs PROJECT主催

実施報告


開催概要

ネパールと駒ヶ根市をつないで「世界と出会うオンライン交流会」

掲載日:2025年01月23日

日時:1月23日(木)


場所:駒ヶ根市立赤穂南小学校


参加者:6年1組32名


 


駒ヶ根市は、市内にJICA海外協力隊の訓練所があるつながりで、ネパールと交流を重ねてきました。なかでも山岳観光都市という共通点から、首都カトマンズから約200kmにある「ポカラ市」と国際協力友好都市協定を結んでいます。


駒ヶ根市立赤穂南小学校の6年生は、総合学習でネパールについて学んでいます。ポカラ市でJICA草の根技術協力事業に携わっている北原照美さん(ラマ色コラボ)を招き、駒ヶ根市民も協力して作った現地の「母子友好病院」のことを中心にお話を聞きました。その後、9月には研修で駒ケ根にきた母子友好病院の医師たちと交流をし、ネパールへ生徒たちが絵を描いて送ろうという計画を立てました。その絵が届いた現地の病院とインターネットでつないで交流しようというのが、今日の授業です。


 


黒板に設置したスクリーンには、現地の様子がライブで映し出されています。授業が始まると、さっそく「ナマステ~!!」と元気の良い声がスピーカーから聞こえてきました。生徒たちはすかさず「ナマステ~!!」と返します。今日は、現地に行っている北原さんが、「母子友好病院」の中を、カメラを持ってライブで案内してくれるそうです。こちらの教室では、吉川里美さん(北原さんのお姉さん)が、オンラインのフォローをしてくれました。


 


画面の向こうで北原さんが移動し始めて間もなく、スクリーンに赤ちゃんが映し出されました。「かわい~~!!」生徒たちは思わず声を上げました。赤ちゃんは、ほんの2時間前に生まれたばかりだといいます。無事にお産を終えて安心した表情のお母さん。そして北原さんは周囲の授乳室や分娩室、帝王切開のための手術室など施設を紹介してくれました。「ナマステ~~!」移動するたびに北原さんは、部屋にいる人に明るく声をかけます。


 



 


病院内のあちこちに、駒ヶ根を中心とした伊那谷の人たちからのプレゼントが飾られています。赤穂高校の生徒がメッセージを描いてくれたという「のれん」や、古い着物の生地を使っておばあちゃんたちがつくってくれた「つるしびな」など。また、空き缶回収で得たお金を送ってもらったこともあったそうです。


小児科の部屋に入ると、白い壁にカラフルな絵が描かれていました。この絵は、蓑輪町の会社から寄付してもらったお金で、病院に来た子どもが喜ぶように、真っ白だった壁をにぎやかにするために描かれたそうです。至るところで、長野県の人々との友好が形になっていました。


 


続いて北原さんは1階から外に出て、病院の外観を見せてくれました。ネパールのお天気は快晴!真っ青な空とまぶしい太陽に、生徒たちから「お~!!」と感嘆の声。「いま、ネパールは11時くらいかな」と担任の小林先生が言うと、「同じ太陽を見てるって面白いね!」窓から駒ヶ根の空を見て、生徒から声が上がりました。


 


北原さんは、先進とは言えないネパールの医療事情を解説してくれました。ネパールでは健康や生活についてのアドバイスを受ける機会がとても少ないそうで、日本人のチームが保健指導のサポートをしているそうです。たとえば、お腹の中にいる赤ちゃんは、36週になるとこのくらいの大きさになるとか、おっぱいがよく出るようにマッサージをした方が良いとか。マッサージのトレーニングに使うおっぱいの模型は、伊那谷のおばあちゃんたちが手づくりしてくれたそうです。おっぱい(母乳)が出る・出ないは赤ちゃんの命に直結するのでとても重要ですが、ケアできていないのが現状だと北原さんは説明してくれました。


 


日本では70年以上前から使っている「母子手帳」「母子手帳」を今、ネパールでも広めようとしているそうです。「すっごくいいですよ!」現地プロジェクトマネージャーのウサさんは力強く答えてくれました。「栄養、成長、分娩、健康生活まで、この冊子に知識が全部入っています。たくさんの人のおかげです。これからもサポートをお願いします!」ネパールの人はお話好きだそうで、熱のこもった長いお話を北原さんが一生懸命通訳してくれました。


 



 


休憩を挟んで、今度は生徒たちが描いた絵についてのコメントを交換しました。絵はコラージュされ、全員分が病院の壁に貼り出されています。


「ナマステ~。メロナム、ユカ、ホ。」数人の生徒がカメラに向かい、ネパール語で自己紹介をしてから自分の描いた絵の意図を話しました。


「ネパールの人たちが少しでも笑顔になってくれたら嬉しいなと思って描きました」


「小さなことでももっとつながってほしいという思いで描きました」


 


北原さんの通訳で生徒たちのコメントを聞いた小児科のドクターロジナさんは、「美しい絵をたくさんありがとう。駒ヶ根の景色、鳥、マンガ、それぞれの絵からマヤ(LOVE)感じられ、心から美しい絵だと思います。近い将来、ぜひネパールに来てください。」とコメント。ウサさんは、「病院のことを思ってくれて、いろんなコンセプトでマヤ(LOVE)のこもった絵をたくさん描いてくれて本当にありがとう。」と感謝を伝えてくれました。


 



 


次は、生徒がネパールの人たちに質問するコーナー。「自分たちと同じくらいの子どもたちはどんなことが好き?」という質問に、「学校よりも断然遊ぶ方が好きですね。サッカーやクリケットなどをして遊んでいます。でも最近は、スマホでゲームする子も多い。お菓子をポリポリしたり、健康的じゃないのでよくないです!」


 


「ネパールで一番きれいな場所は?」との質問には、ヒマラヤ山脈がよく見える丘陵地に住んでいる男性は、「山を見るのが大好き。ネパールはみどりも本当に美しい」。ほかにも「湖や川、美しいところがたくさんある」と自然の美しさを挙げてくれました。


 


「おいしいデザートを知りたいです」との質問には、「ライスプリン(お米で作ったプディング)」、「プスタカリ」という飴、食事は「ダルバート」はよく食べるけれど、大好きなのは「モモ」と呼ばれる餃子。中身は、チキンだったりベジタブルだったりいろいろあるそうです。(※「ダルバート」は、駒ヶ根の給食でもたまに出るそうです!!)


食べる肉は、民族によって違うのだと北原さんは教えてくれます。チキンやヤギ、豚にマトンなど。「牛」は、ヒンズー教では大事な神様の乗り物なので、食べないのだそう。


 


今度は反対に、ネパールから質問が。「新年はどんなことをして過ごしますか?」との問いに、小林先生から当てられた生徒は「実家に行って、おせちを食べたり、お年玉をもらったりしました!」と答えました。


「誕生日はどうやってお祝いする?」という質問には、「回転寿司に行ってお寿司を食べて、そこでケーキも食べます。あとは・・・ゲームしてる!」日本の習慣や文化が詰まった子どもならではの答えは、ネパールの人たちにどう伝わったのでしょうか。現地での北原さんの通訳は大変だったことでしょう。


 


時間が来てしまい、授業はここでおしまいです。生徒からはたくさんの感想が聞かれました。


・ネパールの人たちがとても友好的で楽しかった。


・ポカラの病院に駒ヶ根からのものがたくさんあってびっくりした。


・長野県の人たちがすごく関わっていたことがわかってとてもうれしかった。


・自分が描いた絵はどんな思いで描いたか言えて良かった。


・ネパールの人が絵のことを喜んでくれてうれしかった。


・これからも交流が続いてほしい。


・ポカラに行ってみたいと思った。


 


文化や習慣の違う遠い国の人たちと、同じ太陽を見ながら楽しい国際交流ができました。子どもたちがポカラ市を入り口にして、SDGsの目標「誰1人取り残さない」世界の実現のため、これから世界のさまざまなことに目を向けていってくれることを願います。


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出前授業のアンケートをご紹介します。


・今日の授業で病院内を周っている時に、長野県の人たちがすごく関わっていたことが分かってとても嬉しかったです。自分が書いた絵はどんな想いで描いたかを言えて良かったです。今回の授業はとても良い経験になったし、とても楽しかったです。


・自分が描いた絵が少しでも助けになればいいと思いました。


・オンラインで世界とつながれてとても楽しかったし、ポカラの病院に駒ヶ根のものがたくさんあってビックリしました。ポカラに行ってみたいと思いました。


・このような授業を通して、ネパールと日本の仲をもっと深められてよかったなと思いました。


・すごく分かりやすくて、面白い授業でもってお受けたかったし、機会があったら、また受けたいです。


・ネパールの人が絵のことを喜んでくれてよかった。これからもネパールとの交流が続いて欲しい。


・ネパールと駒ヶ根の仲が本当にいいんだなというのと、ネパールのことを他にも色々知りたいなと思いました。これからも国際協力に関することをやっていきたいなと思いました。