長野県佐久平総合技術高等学校 食品開発コース
コーヒーを抽出した後には必ずコーヒー粕が得られる。おもに焼却処分されることがほとんどであるが、水分が多いことから焼却の際に二酸化炭素を多量に発生させることから、環境への負荷が問題となっている。スターバックス(佐久インター前店)から譲り受けたコーヒー粕の有効利用について検討し、持続可能な資源に変えたいと考えた。
・コーヒー粕中のタンニンと鉄を反応させることでタンニン鉄とする。植物に吸収されやすい鉄にすることで、植物栽培における鉄剤としての利用を検討する。
・スターバックスと連携して、コーヒー粕の有効利用を検討する。
・桜の木のチップなどと混ぜて、燻煙剤としての利用を検討する。
・普及・啓発活動
スターバックスからコーヒー粕の有効利用について相談を受けた。
そこで、2つの活用方法に挑戦した。
1.スモークウッドへの活用
相談を受けた同時期に、学校のグランド横の桜の木の剪定が行なわれ、大量の剪定枝が出た。桜の木は、燻煙剤の材料としてもっとも一般的かつポピュラーな材料であるため、剪定枝の有効利用も兼ねてコーヒースモークウッドの作成に取り組んだ。
2.植物栽培における鉄剤としての活用
植物において鉄は葉緑素の原料となり、光合成を活発に行なう上で重要な成分である。しかしながら、自然界に存在する鉄の多く、酸化鉄や水酸化鉄の状態で存在している。これらの鉄は植物にとって吸収しづらい状態である。そこで、植物にとって吸収しやすい鉄にするため、コーヒー粕中に含まれるタンニンと鉄を反応させ、キレート化させたタンニン鉄を作成し、植物に散布することで、植物の生育に良い影響を与えるのではないかと考えた。
コーヒー粕を使ってタンニン鉄溶液をつくり、植物の生育に与える影響について調査した。
仮説の通り、タンニン鉄溶液を植物に散布することで、生育・重量ともに増加させることができた。
消臭剤としての活用事例は多く見られるが、今回私たちが取り組んだような事例はあまり見られないので、活動を多くの人に発信していきたい。
コーヒースモークウッドについては、コーヒーの良いフレーバーが付くと考えたが、思ったより苦みの方が強かったので、分量や乾燥時間・温度などを変えて挑戦してみたい。
タンニン鉄としての利用については、他の植物でも調査したり、タンニン鉄溶液の成分分析などを行ないたい。