先生が学ぶSDGsセミナー
実施報告
無 料団体名: 特定非営利活動法人 NIED・国際理解教育センター
世界が共通に掲げた目標であるSDGsについて、その内容や背景を理解し、目標達成に必要なものと教育にできることを体験的に学ぶ3回シリーズの2回目。持続可能な環境の3原則「循環・多様性・有限性」と「低炭素」について学び、同時代を生きる人々と未来の世代と動植物との共有物である「有限な地球」の持続可能な使い方について考え、持続可能な社会をデザインする。知り、気づき、行動することをつなぐ「流れのあるプログラム」を体験する。
開催期間:
2020年9月27日(日)10:00~16:00
会場:
松本商工会館 301号室
定員:
30名
掲載日:2020年09月27日
9月27日(日)、特定非営利活動法人 NIED・国際理解教育センターのファシリテーター・伊沢令子さんを講師に迎えた第2回目の教育関係者向けセミナーが、松本商工会議所にて開催されました。(第1回目のレポートはコチラ)
続く今回のテーマは「有限な共有物『地球』の持続可能な使い方を考えよう!」。このままの生活を続けると「地球が2つ必要になる」と言われている今の社会を、「持続可能な社会」へと導く方法を考えるとともに、子どもたちへの指導方法を体験的に学びます。
まずは自己紹介。本名・ワークショップネームの他に、テーマの「自然環境」に合わせた五感にまつわるお題(「自分を自然にあるものに例えると?」「懐かしい音といえば?」「忘れられない味」「100年先にも残っていてほしい自然の風景」)で自分のことを答え、グループで紹介し合いました。普段と違う視点で自分をふりかえり、相手の人となりを知るための手法だそうです。「茶化さずに話を聞きあえる場をつくることが、その後のグループワークをスムーズに進めるコツ」と伊沢さん。会場では十人十色、個性豊かな自己紹介が飛び交い、時折、質問や笑いが生まれていました。
自己紹介を終えた後は、クイズやブレインストーミング、模造紙の上に環境問題の影響を書き出す派生図、原因を書き出す因果関係図など、さまざまな手法を使ってワークショップを行い、多様な角度から「環境問題」について考え、最後に「持続可能なまちづくり」のプロジェクトコンペに挑戦します。
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「地球環境クイズ」では、グループ内で二手に分かれ、
・このままゴミを埋め立て続けると、あと何年でいっぱいになる?
・日本で廃棄される食材はどれくらい?
などの問題が出題される「ゴミ・食べ物編」と、
・現在、1日に何種類の生き物が絶滅している?
・今の生活をつづけた場合、2100年の気温は最大何度上昇する?
などの問題が出題される「生物・エネルギー編」のそれぞれに挑戦しました。
興味を持ってほしい事を教えるのではなく「クイズ」にする手法は、参加者の関心を喚起する有効なフックのひとつとのこと。参加者の皆さんも首をひねりながら参加しており、答え合わせの時間には、そこかしこから「えーっ!そんな!」「なるほど!」と、さまざまなリアクションが聞こえてきました。なかには「大げさに答えたら、全部当たっちゃった!」と焦るチームも。もう一方の問題を解いていたチームメンバーに、少し得意げにクイズの答えを共有する姿が印象的でした。
クイズの後には、グループごとに4種類配られた資料を1種類ずつ分担して読み解き、わかったことや驚いたことを、1人1分半で伝え合い共有しました。「各自で読むだけではなく『他のメンバーに教えなきゃいけない』という責任感が、本人の理解を深めます」そんな伊沢さんの言葉を体現するように、参加者の皆さんそれぞれが、限られた時間の中で要点を抜粋しながら発表していました。
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「環境問題はどうして問題なのか」を考えるワークショップでは、「このまま環境問題が続くとどうなる?」という問いに対し、それぞれ「ゴミ増加」「野生生物絶滅」「水資源枯渇」などの問題毎に、それが続くことの影響を模造紙に派生図で書き出していくワークを行いました。
ワークのポイントは「質よりも量を重視すること」、「人の意見を否定しないこと」、「人が出した意見を広げること」。伊沢さんもペンを持ち、各グループの派生図にアイデアを書き足していきます。グループメンバーそれぞれが違う色のペンで言葉を書き足した派生図は、色が混ざり合うカラフルな仕上がりに。各グループの模造紙を回し読みしながら、自分達に影響が及びそうな事柄を洗い出す作業では「全部影響あるなぁ・・・」というつぶやきが聞こえました。
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環境問題の現状や問題点、原因と背景、持続可能な環境のための4つのポイント(循環、生物多様性、資源の有限性、低炭素)を9つのワークショップを通じて学んだところで、今回の目玉「持続可能なまちをデザインしよう!プロジェクトコンペ」を開催しました。
「持続可能なまち」をデザインするポイントは
・物質循環(生産→消費→廃棄→生産→∞)
・生物多様性保全
・再生可能資源への代替
・低炭素への工夫
・人々のつながりを創り出す仕掛け
・多様な属性への人権配慮
・無関心層の心もつかむ素敵さ、面白さ
・斬新な視点と先駆性、実現可能性
コンビニや工場、学校、居酒屋など、グループごとにデザインするものを決め、持続可能であるためにはハードやソフトがどうなっているといいのかを話し合い、デザインに落とし込み、完成図を模造紙に書き込みます。「畑から収穫したものを買うことができるお店を作ろう」「移動手段は馬車にしよう」「子供とお年寄りが触れ合える施設をつくろう」―参加者の皆さんからはアイデアが泉のように沸いていました!
最後に全参加者の前でチームごとにプレゼンを行いました。個性豊かな発表が続くなか、「遊園地」を提案したチームでは、SDGsにちなんだコンセプト「【S】世界のために【D】デザインしました【G】(遊園地施設を)ぐるっと回って【s】素敵な明日を」を発表。会場からは「お~~~!!」と感心の声が挙がりました。
「先生が学ぶ!SDGsセミナー」第2回目のねらいは
・参加型教育への理解を深め、「知る/気づく/行動する」をつなぐ学習方法を学ぶこと
・地球環境の有限性を理解すること
・生態系の3原則「循環/多様性/有限性」と、「低炭素」について学ぶこと
・環境問題の影響と原因、自分との関わりを理解し、手立てを考えること でした。
参加者の皆さんからは、「環境問題の知識を取り込んだ上でアウトプットができたので分かりやすかった」、「授業にもぜひ取り入れたい」、「節電や節水など、子どもたちが進んで実行できるよう、教室環境なども工夫したいと思った」との声が挙がりました。
1時間の休憩をはさみ6時間という長丁場でしたが、皆さん疲れも見せず、それどころかセミナーが進むごとにどんどんと盛り上がりを見せていたのが印象的でした。
次回のセミナーで全3回の講座は終了となります。点と点が線でつながる、最後の講座もぜひご参加ください!