企業向けセミナー
実施報告
WEB講座団体名: SMEビジネスコンサルティング合同会社
SDGsに取り組もうとしても、何をどうやればいいのか分からない…。
SDGsが社内に浸透したけど、次の一手が難しい…。
そんな悩みを解消する「SDGs戦略デザインシート」を活用し、SDGs企業への歩みを進めましょう。
この講座では、SDGsの理解度や浸透度に応じた取り組むべき事項とその方法を、「SDGs戦略デザインシート」をもとにレクチャーいたします。
【プロフィール】
名前:岡本 洋平
所属:株式会社戦略デザインラボ 代表取締役
SMEビジネスコンサルティング合同会社 代表社員
一般社団法人長野県経営支援機構 専務理事
資格:中小企業診断士 応用情報技術者
中小企業診断士として年間300件以上の経営相談実績をもとに、中小企業および小規模企業の
本質的課題解決に向けた経営支援を行う。
昨年よりSDGsの重要性を訴え、様々な機関・団体でSDGsセミナー等を実施。
デジタル経営の導入支援、ビジネス教育の推進、地域経済の活性化など、「事業の全てがSDGs」で
あることを目指し、自身でも次世代型に向けた経営に取り組んでいる。
開催期間:
2020年10月15日(木)14:00~16:00
会場:
オンラインセミナー(zoom)
掲載日:2020年10月15日
2020年10月15日(木)14:00~16:00オンラインにて開催
最近、新聞でもテレビでも「SDGs」という言葉を耳にする機会が増えました。長野県内でもSDGsに取り組む企業が増えていることと思いますが、「SDGsに取り組もうとしても、何をどうやればいいのか分からない」「SDGsが社内に浸透したけど、次の一手が難しい…」といった声も聞かれます。
そんな悩みを解消するのが今回のセミナーです。
テーマは「SDGs企業を実現するための戦略デザインシート」。SDGsの理解度や浸透度に合わせてどんなことに取り組むべきか、その方法を「SDGs戦略デザインシート」をもとにレクチャーしてもらいました。
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【講師】
株式会社戦略デザインラボ 代表取締役
SMEビジネスコンサルティング合同会社 代表社員 岡本洋平さん
中小企業診断士の資格を持つ岡本さんは、年間300件以上の経営相談実績をもとに、企業の経営支援に多数携わってきました。企業の成長や働きがいなど、経営の観点からもSDGsを重要視しており、様々な機関・団体でSDGsに関するセミナー等を開催しています。
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SDGsの取り組みに関するアンケートを実施したところ、多くの企業から「浸透を図る段階」「取り組み中」という回答が得られたそうです。
その中には「取り組みが順調でない」と答えた企業もあり、「SDGsの取り組みを進めるための具体的な方法を知りたい」「自社で取り組めそうな事例、または他社事例を知りたい」という声も多く寄せられたそうです。
「これまでのCSRといった取り組みは社会貢献の方向性が強かったのですが、SDGsでは企業としての利益や組織体制活性化についてのノウハウが必要になる。しかし現状、書籍やセミナーでは、取り組みの事例や具体的な順序やノウハウまで得られることが少ないため『探りながら』SDGsに取り組んでいる企業が多い」と岡本さんは現状を分析します。
「そもそもSDGsの目的は『全てが持続可能であること』。環境、社会はもちろん、経済も持続できるような取り組みを行うためには、自社の利益、社員の利益も考えていかないといけません。私は、それがSDGsのいいところだと考えます」。
岡本さんは、1~17の目標ごとに企業としてどんなことができるか、取り組みの例を紹介しました。
例えば「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」は、海外の発展途上国を想像する人が多いかもしれませんが、教育支援や子ども食堂など日本国内でできることもある。また「6.安全な水とトイレを世界中に」も、災害対策の取り組みにつなげることもできる―岡本さんは、「SDGsの17のゴールは抽象的。だからこそ自社やその商品・サービスに合う形で取り組むことができる」と解説します。
しかし、ゴールと取り組みはわかっても、やはり具体的な方法がわからなくては前に進めないでしょう。そこで、「どうやってSDGsに取り組めばよいか、自社の現在位置はどこかを知るツールが必要」と岡本さんが他社の成功・失敗事例をもとに考えたのが、SDGsに取り組むためのマニュアル「SDGs戦略デザインシート」です。
ここではSDGsの取り組みの成熟度を
「導入段階」「浸透段階」「行動段階」「実現段階」の4つの段階に分けて考えます。タテ軸を成熟度、ヨコ軸を取り組んだ時間とし、まずは自社の位置をマッピングします。そして、その段階でやるべきこと、足りていない部分を確認し、取り組んでいく―という手法です。
各段階にはおさえるべきポイントが複数挙げられているので、それを一つ一つクリアしていくとわかりやすくステップアップして行けそうです。
まず「導入段階」とは、経営理念やビジョンの設定、価値観の共有の段階。そこでは
□SDGsのゴールや価値観と自社の経営理念・経営ビジョン・価値観が一致しているか
□経営理念・経営ビジョン・価値観を社内で共有できているか
□他者貢献のみならず、自社の持続可能性も考慮しているか
などといったチェックポイントが設定されています。
特に岡本さんは「SDGsの視点では、お客様や地域の皆様だけでなく、自社や自社で働く従業員のことまで考えられているかも非常に大事な視点」と強調します。
次の「浸透段階」は、自社の経営状態や目標の「見える化」やコミュニケーションの充実、目標に向かう一体感を醸成する段階。
□自社の社風や組織文化、強みを把握しているか
□役職、雇用形態、性別にかかわらず、すべての人の意見が尊重され、活躍できているか
□知識やノウハウを互いに共有する機会をつくっているか
□何のために取り組むか、取り組みがどう評価されているか
などのポイントがあります。
次に「行動段階」「実現段階」へと続いていきますが、岡本さんは「取り組みを急ぎすぎると途中でつまずいてしまう」と注意を促します。
例として、浸透段階でコミュニケーションが不十分だったり、一体感が醸成できていないと、いざ行動段階でチームを作ってもうまくいかない―ということがあるようです。
現在「行動段階」でうまくいっていないという場合は、「SDGs戦略デザインシート」でこれまでの取り組みを振り返ってみるとヒントが隠れているかも知れません。
また、岡本さんは実際の企業でのSDGsの取り組み事例も紹介してくれました。
例えば、あるデイサービス事業者では、「おじいちゃんおばあちゃんのお話を聞くのが大好き」な人たちが集まっていましたが、事業所内ではそれが「当たり前」だったため特にPRしていませんでした。そこで「心から元気になれる」「全ての人が主役になれる」というメッセージのもと事業所の強みをはっきりさせると同時に、SDGsで関連するゴールを紐づけたところ、入所希望が殺到したそうです。
また、精密加工業の会社では、以前は一人の人に仕事が集中してしまっていたそうですが、ダイバーシティ経営に取り組み徹底的にITを活用。生産管理や各種データのクラウド化を進めたところ、女性や高齢者、外国人など多様な人材が活躍できるようになりました。
この他にも「『ジャパンSDGsアワード』を受賞した企業の取り組みも参考になる」と岡本さん。もし取り組みが見つからないという場合は、SDGsに詳しい中小企業診断士の支援を受けるのも効果的だそうです。
SDGsの取り組みを成功させるには、「役員や管理層の理解と『自分ゴト化』がとても重要」と岡本さんは強調します。そうしないと内部(現場レベル)まで浸透させることが難しいためです。
また、現在の学生は、SDGsについて学び環境問題や社会課題に強い関心を持つ「SDGsネイティブ」と呼ばれる世代。岡本さんは「SDGsに取り組んでいるかどうかは今後採用活動にも影響してきます。さらに、大企業や金融業など大きな組織ほどSDGsに取り組んでいるので、下請けの打ち切りといったリスクも考えられる」と警鐘を鳴らします。
最後に岡本さんは「持続可能な経済、持続可能な社会、持続的な環境そして持続可能な地域のためにぜひ自社にできるSDGsの取り組みを考え、利益につなげてください。またその利益は、取り組みを進める企業同士で循環したり、社員に還元するなど地域が持続可能になる方向で使っていただきたいです」と締めくくりました。
SDGsの取り組みのヒントと、SDGsの重要性が改めてわかった今回のセミナー。
岡本さんから提供いただきました「SDGs戦略デザインシート」ぜひ、ご活用ください。