WEBセミナー
実施報告
WEB講座団体名: 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
世界に暮らす子ども達のストーリーを読み、彼らが直面している課題や解決のための取り組みを知り、自分達ができることを一緒に考えるオンラインセミナーです。
遠い外国の子ども達の状況を知ることは、自分自身や自分の暮らす国や地域のこと客観的に理解することでもあります。
コロナ禍で海外に出向くなど、生の体験がしにくい今だからこそ、このセミナーを通じ、世界の実情を知っていただけますと幸いです。
持続可能な開発目標の目標達成や子どもたちのために、皆さま自身にできることがきっと見つかるはずです。
開催期間:
2021年2月20日(土)10:00~11:00 ※60分終了後、質疑応答時間を設けます。ご希望の方は、そのままご参加いただけます。
受付締切:
定員になり次第締切
会場:
オンラインセミナー(zoom)
受講料:
無料
定員:
100名
備考:
小学校高学年のお子様にもご理解いただける内容で進めます。ぜひお子さん、お孫さんとご一緒にご参加ください。また、お子様とご一緒ではなくても、子ども達へ伝えたい皆さま、世界の状況に関心のある皆さま、広くご参加いただけます。
掲載日:2021年02月20日
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、すべての子どもにとって「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」子どもの権利を目指して100年の活動の歴史を持つNGO。本日講師にお迎えした川口さんは「アドボカシー(政策提言)室」という、子どもに関する課題について政府などにはたらきかけ、具体策を提言するチームに所属されています。
今回はオンラインアンケートの機能を使って、イベントの最中に参加者に意見を聴きながら講座を進めるなど、これまでにないインタラクティブなオンラインセミナーとなりました。
【ウォーミングアップ】
まずは、みなさんに質問です!
Q) 「長野(自分の住む町)」の好きなところを教えてください
オンラインで投票スタート!8割以上の方の投票を待って、受付を締め切りました。
・自然豊かな街並み・景観・・・82%
・空気や水のおいしさ、などの回答が多数。
→ 長野は自然も多く、景観もすばらしいですね!
Q) 2030年(9年後)の「長野」を考えてみましょう。より良くなっていると思いますか?
→ より良くなっているという、ポジティブな意見が多いですね!
正解はないので率直な思いを投票していただいていいのですが、中には課題意識のある方もいますね。
Q) 2030年の「日本」&「世界」はより良くなっていると思いますか?
→ あまり良くなっていない、という回答が多いですね。
「自分の住む街は良くなっている」と思う一方、「日本や世界はそうではない」と考える方が多いです。今日は、このあたりを学んでいきたいと思います。
【SDGs・・・「持続可能な開発目標」とは?】
いま、世界ではこんなことが起きています…
・気候変動、地球温暖化の問題:このままではさまざまな生物が生きられなくなってしまいます
・広がる格差:持っている人はさらに持ち、持たない人との格差が広がっている
・紛争、難民、不安定な社会
・大量生産大量消費:ゴミの問題も深刻!
「このままでは世界が持たない!」という危機感から、世界を維持するために生まれたのがSDGs。
SDGsが大切にしていること、SDGsの特徴は、
・環境問題や社会・経済に関する問題をそれぞれバラバラに考えるのでなく、つながりを考えるためにひとつにまとめたこと。
・途上国の人も先進国の人も、男性女性、それ以外の性別、障害のある人、子ども、大人、すべての人を「誰一人取り残さない」こと! です。
国連で決めたものだから遠いところの話じゃないかと思うかもしれませんが、自分たちの生活に近づけて考えてみると考えやすいです。たとえば、
・日本でも去年コロナで学校が休校になって授業が受けられなかった・・・途上国では今も学校に通えない子どもがたくさんいる。 →目標4
・スーパーでの買い物時に思う、賞味期限が切れた商品ってどうなるんだろう? →目標12
・私たちの意見って政治に反映されているんだろうか? →目標16
あなたが日々感じている課題は、SDGsとどのようにつながっているでしょうか?
ここで質問!
Q) 説明を聞いて、いまあなたが最も関心のあるゴールはどれですか?
・13:気候変動に具体的な対策を
・16:平和と公正をすべてのひとに
・3:すべてのひとに健康と福祉
・4:質の高い教育をみんなに
回答は均等に分かれましたね。ありがとうございます。
すべてのゴールに取り組むのは難しいです。どれか1つ2つ関心の高い目標をきっかけに、アンテナを張って見たり取り組んだりしたらいいと思います。
【世界の子どもの課題とセーブ・ザ・チルドレンの活動】
Q) クイズ この国はどこの国でしょう?
使われている言葉、カラフルで特徴的な衣装、青い制服の子ども、家庭での食事の様子を見て・・・
→バングラディシュ 92% 正解!
バングラディシュに暮らすパルルさん(15歳)のストーリーを一緒に読んでみましょう。
貧しい家庭に生まれたパルルさん。バングラディシュの社会では男性の方が女性より大切にされがちで、お兄さんたちは普通にやらせてもらえることでも、パルルさんは「少女だから」という理由でやらせてもらえなかったり、後回しにされてきました。
あるとき、パルルさんに軽い知的障害があることがわかりました。母親は、さまざまなことを不安に思い、パルルさんを学校に通わせていませんでした。
そこである支援団体が、母、家族、地域の人に対して、障害のある子どもにも教育を受ける権利があることを繰り返し説明し、説得しました。学校に通いはじめたパルルさんは特に水泳に興味を持ったため、支援団体は水泳競技に参加できるようサポート。すると、2011年にギリシャのスペシャルオリンピックスにて銅メダル、2013年にオーストラリア、2015年にアメリカで金メダルを獲得!!現在は小学校を卒業し、中学校に通っています。
母親談:「娘を誇りに思う。」父:「私はただの運転手でなく、パルルの父親です。」
Q) ここで質問! このストーリーを読んで、今どんな気持ち?
・驚いた
・複雑だ
・もっと知りたい ・・・このあたりが多いですね。
ストーリーの中でも、いくつかのポイントに注目してみましょう。
・男性の方が女性より大切にされがち お兄さんはやらせてもらえることが「少女だから」という理由でやらせてもらえなかったり、後回しにされたりしてきました
⇒ 目標5 最近のニュースでは、日本でもジェンダーの問題が取り上げられています。
それ以外の性別の人もどうなのか考えると、課題はいろいろ出てきますね。
・パルルさんの母親は、障害のある子どもに対する差別や、障害のある子どもを産んだことを周りに避難されること、結果として離婚されることを不安に思い、学校に通わせていなかった
⇒ 目標4 誰もが平等に質の高い教育を受けられること
ストーリーに出てくる「ある支援団体」とは、セーブ・ザ・チルドレンのことです。モンゴルでもインクルーシブ(すべての人:障害、宗教、親の仕事、貧困などを理由に通学できない子どもたち)を支援しています。ほかのNGOや学校と連携し、このような現場に根差した「直接的な」活動で、子どもたちが教育を受けられるように、また一つの地域だけでなく、全ての子どもたちがバランスの良い食事をとり、栄養不良の治療をできるよう政府に働きかける(政策提言)ことで、世界のより多くの子どもたちの健康を守っているのです。
【私たちがSDGS達成のためにできること】
日本にいる私たちが「国際的な問題に取り組むこと」と、「日本で起きている国内の問題、身近な問題に取り組むこと」は、どちらも大切。あなたにもできるのはこんなことがあります。
・世界の出来事、または身の回りで起きていることを理解する
⇒ ニュースや新聞を読む、イベントに参加する、学校で勉強する(自分にできることは何だろう?得意な分野を知ることも重要)
・課題と感じることがあれば、先生や家族に相談したり、地域の行政に働きかけてみる
⇒ 皆で参加することが重要。 アクションを起こしてみても
関心のある課題に取り組んでいる学校内や地域の活動に積極的に参加する(仲間を増やす)
・世界の課題に取り組みたい場合、NGOなどが実施するキャンペーンや活動に参加する
⇒ ボランティア活動に参加する、ユースや子どもが参加できる活動に参加する
※やってみたい気持ちをアクションにつなげることが重要です!
・セーブ・ザ・チルドレンのような海外支援を行っている団体を応援(支援)する
⇒ 寄付を行う、署名活動に参加する
※オンラインの活動や、セーブ・ザ・チルドレン ユース(高校生~大学生)の活動もあります
最後の質問!
Q) 今日の話を聞いて、あなたはSDGSの目標を達成するためにできることがあると思いますか?今の気持ちを投票してみてください。
・まだ具体的にわからないけど、できることはあると思う 30%
・やってみたいことが見つかった! → うれしいですね!
・今すでにアクションを起こしている 20%
・できることはないと感じる 0% → すばらしい!!
わからないという方は、これから見つけていってほしいですね。
SDGsのゴールは2030年を目指していますが、その先も未来は続いていきます。
自分にできることを、それぞれの立場で、行動を起こしましょう!
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1時間のセミナーはあっという間に終了し、30分を予定していた質疑応答の時間も、すべてにお答えすることができないほど、たくさんの質問をいただきました。
「支援の中で、現地の子どもたちとコミュニケーションをとる方法はあるか?」「物資を送る活動はしているか?」という具体的な支援行動への質問もあれば、「川口さんのようなお仕事に就くにはどんな勉強が必要か?」といった、職業として川口さんの活動に関心を寄せた質問もありました。
親子や家族での参加も多かった今回のセミナー。SDGsに関する知識をただ聞くだけでなく、ところどころでアンケートに参加することで、自分の考えや感想を表明するという「小さな行動」を起こし、その成果を体験できたように思います。川口さんからは知ったこと・学んだことを「考え」、「実際に行動を起こす」ための道筋までヒントをいただきました。みなさんの明日からの行動がどのように変わるか楽しみですね。