野村ホールディングス主催
実施報告
団体名: 野村ホールディングス
掲載日:2024年12月26日
テーマ:「自分の将来とお金の話」
講師 :野村ホールディングス 佐藤 由紀さん
場所 :松商学園高等学校
受講者:松商学園高等学校 普通科2年生 110名
本日の講師・佐藤さんが勤務する野村証券グループは、約30を超える国と地域に拠点があり、社員27,000人のうち40%が海外勤務で、社員の国籍は90カ国以上にわたるという、たいへんグローバルな企業です。その中で佐藤さんは「ファイナンシャル・ウェルビーイング室」という部署に所属し、日本全国を飛び回って各地の学校で金融・経済についての出前授業をされているそうです。本日は松商学園高校普通科の2年生のために「金融リテラシーを高める」ための出張授業に来てくださいました。
金融リテラシーを高めることで夢を実現しよう
「どんな将来にしたいですか?」はじめに佐藤さんは生徒たちに問いかけました。たとえば、こんな家に住みたい、こんなふうになりたい、こんなものが欲しい、こんなことを学びたい・・・それらの「夢」を叶えるためには、どれくらいの「お金」がかかるでしょうか?
「金融リテラシー」を高めれば、やりたいことを実現しやすくなるほか、詐欺にだまされにくい、借金が少なくて済む、といったような「いいこと」がいっぱいあるんだそうです。それが今日の授業のテーマです。
大事なのは、家計管理とライフプランニング
スクリーンには、例として基本給が20万円の人の給料明細が映し出されました。手当を入れて21万8,000円になりますが、そこから保険や税金などもろもろ引かれて「手取り」は17万5,000円に。そこから住居費や光熱費、通信費や食費といった支出をしなければなりませんが、ここで「収入と支出のバランス」が重要になってきます。手取りの給料を全部目の前のことに使ってしまうのではなく、将来のために少し残しておきたいところです。でも佐藤さんは、収入から支出を引いて残った分を貯蓄にまわす、というやり方はNGだといいます。まず貯蓄額を決め、はじめによけておいて、その中で支出をまかなうのが正解だと教えてくれました。
次に、配られた手元のワークシートを見てみると、自分の目標を書く欄があります。たとえば25歳で世界一周とか、たとえばマイホームを建てるとか。その際に、いくら必要になるでしょうか?3,000万円くらい?月々3万円貯めたらどうなる?
ここで重要になってくるのは「ライフプランニング」だと佐藤さん。人生でのイベントは時期や回数などは人それぞれ。自分の未来を描いて、そのために何が必要か構想を描くのが「ライフプランニング」だそうです。
人生には思いのほかお金がかかる
ここで、わかりやすくイラストでまとめた動画を見せてくれました。猫のタマさん。生活設計をしっかり考えたタマさんと、将来を考えず目先のお金に溺れたタマさん。その差は年を重ねるほどにどんどん開いていくというストーリーでした。
人生の三大支出「教育費」「住宅費」「老後費用」。幼稚園から大学までの教育費は、すべて公立なら1,078万円、すべて私立だと2,533万円、さらに私立理系だと2,692万円!次に住宅の購入費は、平均で3,600万円(年収の6倍)。毎月約10万円返済すると収入の21%!そして老後は、収入に対して毎月3.3万円が不足すると言われていて、長生きして40年間も毎月足りないとなるとトータルで1,600万円の不足となります!これにはタマさんもビックリです!!
手元のワークシートに自分のライフイベントを考えて空欄を埋め、20年間のライフコースを完成させてみましょう、と佐藤さん。新婚旅行に行く?行かない?子どもは何人?学校は公立?私立?全部計算すると、どれくらいかかると思う?
・・・20年でなんと1億2,880万円!!!普通に暮らすだけでこんなにかかるんです!
さらに佐藤さんは、「正規雇用」と「非正規雇用」での年収の差がわかる表を見せてくれました。月給はもちろん、年に数回もらえるボーナスの額が大きく違うので、できるだけ正規で働いた方がいいでしょう、とシビアな助言をくださいました。
さて、人生でたくさんかかるお金、どんな準備をすればいいのでしょうか?
資産形成の方法~投資において大切なこと~
佐藤さんは、貯める、殖やすといった資産形成のための3つの方法を教えてくれました。「預金」「株式」「債券」ですが、リスクとリターンのバランスでそれぞれにメリットとデメリットがあります。さらにもうひとつおすすめしてくれた「投資信託」という方法は、月々少額から始められ、プロが運用してくれる投資方法。リスクを軽減するための「分散」、価格の変動に左右されにくい定期的定額投資「積立」、複利のシステムを利用して雪だるま式に増やす「長期」。この3つがポイントだと佐藤さんは強調しました。
たとえば毎月5,000円を利率3%で運用する表を見ると、5年では32万円、20年では163万円、40年では458万円、50年では686万円になります。利率が0%つまり、ただ置いておくだけでは50年後に300万円なので、運用した場合としない場合ではここでは倍以上も変わってしまうということです。
資産運用は、早く始めるほど有利です。「少額」ずつ「長期」にわたって運用するのがポイント。お金に働いてもらいながら、資産形成を実現しましょう!とのアドバイスで、佐藤さんは授業を締めくくりました。
以下、受講した生徒さんからの感想を抜粋します。
・将来やりたいことは考えても、そこに必要なお金のことは考えたことがなかった。一人で生きていくだけでもたくさんお金がかかるのに、親はすごい。感謝しかない。
・私が生きてきた17年間はとてもお金がかかったと思うし、大学進学も考えているのでこれからもかかってしまう。大切に育ててくれている両親にもっと感謝して親孝行できるように、今から人生をよく考えて過ごしていきたい。
・低リスク高リターンという方法はあり得ないことを知った。偽の広告などにだまされないようにしたい。
・少しやれば稼げるなど美味しい話がたくさんある世の中、気をつけて生きていきたいと思った。将来を見据え、計画を立てて生活をしていきたい。
・将来に必要なお金を現実的に考えられる良い機会になった。
・目先のことだけでなく、将来のことを考えながらお金を使うことを大事にしたい。
短い時間でスピード感のある授業でしたが、生徒さんはしっかりポイントを心に受け止めていたようです。しっかり知識を持ちながらもあまり縮こまりすぎずに、未来に向けて自分のやりたいことを実現してもらいたいです。
<出前授業を受けた生徒さんたちのアンケートを紹介します>
・将来の夢とかやりたいことは考えるけど、そのために必要なお金のことは考えたことがなかった。一人で生きていくだけでお金がすごいかかるのに、そこから一人、二人、知らない人の保障までしている親や大人はすごいし、本当に感謝だなと思った。やりたいことをやるだけでなく、やりたいことをやった後のことを考えて生活していかないと、将来の自分がつらい思いをするから、目先のことだけでなく先のことを見て生きていきたい。
・自分の将来とお金の話を聞いてまず、将来について家計管理をしないといけないことが分かった。30歳で大きい家を建てるなど目標を立てて、そのためにいくら必要なのかと将来の目標を立てる事も人生が楽しくなる面でも大事だと学んだ。
・今日の講演会を受けて、もっと将来のことを考えなくてはいけないと思いました。何になりたい、どんな生活をしたい、何が欲しいなど何となくのことは考えるけど、そのためにどのくらいのお金が必要で、貯金はどのくらいした方が良いかという具体的なことはしっかり考えたことがありませんでした。若いうちから将来のことを考えて貯金して人生についてもっと考えていきたいです。私が生きてきた17年間はとてもお金を使ったと思うし、大学進学も考えているのでこれからもお金がかかってしまうと思います。大切に育ててくれている両親にもっと感謝して、親孝行できるように今から人生について考えて過ごしていきたいです。
・若いうちからお金のことについて考えられるいい機会になりました。公立の学校に通うだけでも余裕で1千万円は超えてしなうのならば、親に感謝だなとすごく実感した。まだまだお金のかかることがこれからたくさんあるので、今のお金の使い方を見直し、今から将来に向けて貯蓄していきたいと思いました。貯蓄した一部で何か親にしてあげたいなと思っています。将来のことを考えながらお金を使うことを大事にしたいです。
・今回、自分の将来とお金についての話を聞いて、将来を見据えた貯金をすることの大切さを学びました。ワークシートを使って実際に将来、必要となるお金で計算してみて思っていた以上に学費がかかることが分かりました。自分は高校に入ってから寮生活になり、食費や生活費を自分で管理しなければいけなくなり、お金の使い方があまりよくないと感じています。将来に必要なお金を現実的に考えられる良い機会になりました。
・家計管理やライフプランニングについて考える事の重要性が分かった。私は今までお金について考えたり、将来どんな人生にしていくかを考えた事が無かったので、今日の話を聞いてみて今後の人生の為にも今からでも考えていく必要があると思った。
・株式についての話を聞いて、今は自分にあまり関係ないことだと思っていたが、身近なことだと感じました。今を一生懸命いきることも大事だが、将来を見据えてお金や生き方などを考えていかなければ、いけないと思いました。少しやれば稼げるなど美味しい話がたくさんある世の中などに気を付けて生きていきたいと思った。将来を見据えて、計画を立てて生活をしていきたいと思った。