12/4開催 出前授業

実施報告

諏訪東京理科大学出前授業

団体名: NAGANO SDGs PROJECT

開催概要

12月4日(水)諏訪東京理科大学で出前授業を開催! 特別講義「スナック菓子が地球温暖化?! —つながっている世界—」

掲載日:2019年12月04日

今回の参加者は、諏訪東京理科大学工学部の3年生60名。


講師は、NAGANO SDGs PROJECT事務局の古川氏と、元JICA(国際協力機構)職員で現在はフリーランスでSDGsカードゲーム公認ファシリテーターとして活動中の佐藤利春氏です。


まずは、NAGANO SDGs PROJECT事務局の古川氏より、SDGsについての概要説明がありました。「誰一人取り残さない」が基本理念のSDGs には、解決すべき17のゴールが設定されていますが、どの課題も複雑に絡み合っています。1つの要因はさまざまな問題を引き起こし、また1つの解決はさまざまな課題の解決にもつながります。


SDGsはどの目標も、人が「幸せになるため」のもの。日本ではまだまだ認知度の低いSDGsですが、世界では標準になりつつあり、SDGsに取り組んでいない企業は入札に参加できない、銀行の融資を受けられないなどという現象もあるそうです。このままでは2030年に日本は後進国になっているかもしれません。「遠い国のことではありません。自分が幸せになりたいのであれば、まずは自分ではない誰かの幸せを願い、できることから取り組んでいくことが近道です!」と、学生たちに呼びかけました。



次に、佐藤利春氏の登壇です。


本題の「スナック菓子が地球温暖化」というテーマですが、いったいどういうことでしょうか。


…キーワードは、スナック菓子に使われる「パーム油」だそうです。


安価でおいしい身近なスナック菓子といえば、ポテトチップス。ポテトチップスの原材料には、「植物油脂」と表示されることが多い安価なオイル「パーム油」が使われています。ポテトチップスがたくさん流通すれば、それにともなってパーム油もたくさん必要になり、原料となる「アブラヤシ」という植物が大量栽培されるようになります。そして、大きなヤシ農園を作るために森林伐採が進み、地球温暖化につながってしまうのだそうです。



パーム油の問題は、環境だけでなく生態系ほかさまざまな問題にもつながっています。あるデータでは森林伐採によって、そこに暮らしていたオランウータンが一日約25頭も息を引き取っているそうです。


さらに、拡大するヤシ農園では子どもも労働せざるを得ない状況のため、教育を受けられず、貧困から抜け出せないーといった教育、貧困、人権の問題までつながります。


パーム油が使われている製品は、ポテトチップスの他にもチョコレート、カップラーメン、ドレッシングやシャンプーなど身の回りに溢れていて、私たちの生活になくてはならない存在です。パーム油を全く使わない暮らしというのは難しいですが、例えばその商品の値段に、ヤシ農園をこれ以上拡大させないように支援するお金が入っているーというような世の中にしていく意識が大切だそうです。



1つの問題の背景には、様々な問題や原因があり、複雑に絡み合っています。


「SDGsの本質は、『世界はつながっている、そして私も起点』ということ。皆さんの意識が変われば、世界が変わります!」佐藤さんは訴えました。


授業に参加した学生たちは、初めはSDGsを全く知らなかったり、聞いたことはあっても内容はあまり知らなかったりという様子でした。しかし今回の授業で、今まで知らなかった世界の様子と自分たちとの関係性を知り、「新しい発見があった」「何か行動を始めようと思った」という感想が、アンケートの回答として数多く寄せられました。


これからの未来を担う学生たちが、必ず考えていかなければならない地球規模の課題SDGs。そんなSDGsに向き合う大きな一歩となる授業でした。