NAGANO SDGs PROJECT主催
実施報告
掲載日:2024年12月21日
2022年9月12日(月) オンラインで特別出前授業を実施しました!
講師 :長野県県民文化部くらし安全・消費生活課 北林郁子さん
演目 :「はじめませんか?エシカル消費」
受講者:上小小中学校事務研究協議会 63名
今回は出前授業特別編として、普段は子どもたちにSDGsを教える立場の学校関係者の方に向けて、「エシカル消費」に関する講演がオンラインにて開催されました。
講師の北林さんは、長野県民の「エシカル消費」推進に携わっています。講演では「エシカル消費」が生まれた背景や県の取り組みを話してくれました。
現在、私たちの豊かな消費生活の裏側で、貧困・飢餓・児童労働などの社会問題、地球温暖化・森林破壊・海洋汚染などの環境問題が起こっています。2021年8月の国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、「地球温暖化の原因は人間の環境によるもの」と初めて断言されたそう。そんな地球と人の未来が危ぶまれるなかで、「人も自然も傷つけずにみんなが笑顔になる買い物を」という思いから生まれたのが「エシカル消費」です。例えば、地産地消を心がける、伝統工芸品を手に取ってみる、使い捨てではなく長く使えるものを買う、フェアトレードで調達された商品を選ぶなど。一人ひとりが人や地域、環境に配慮した思いやりのある消費活動を行うことで、未来が少しずつ変わっていくのです。
長野県では、人・社会、環境、地域以外にも健康に配慮した消費として、塩分を控え野菜多めの食事を心がける、できる限りマイカー使用を控えて体を動かす、定期的に検診を受けるなど健康長寿県ならではの取り組みも推進しています。北林さんは「自身の健康管理も含め『自分の行動が未来をつくる』という価値観が芽生えてエシカルに興味を持つ人が増えれば、エシカルな商品が増加し社会が少し良くなります。この『持続可能な未来をつくる好循環が構築された長野県』が私たちの目指す姿です」と説明してくれました。
現在、県内の「長野県版エシカル消費」の認知度は4.0%。北林さんの所属するくらし安全・消費生活課では、スーパーやコンビニなどでのポップ掲示や県広報誌とメディアによるPR、小学校への出張授業を行うなどエシカル消費の認知度向上を目指し活動しています。さらに、今年から株式会社デリシアと連携協定を結び、月に一度エシカル消費の解説コラムを新聞折込チラシに掲載して発行したり、廃棄物削減・地産地消・CO₂削減などに該当するエシカル商品の購入を促すポイントカードの活用など、県内のエシカル消費の普及啓発を推進。北林さんは「一人ひとりの取り組みは微力でも、みんなが変われば世界が変わります!あなたも今日からエシカル消費をはじめませんか?」と参加者に呼びかけ、講演を締めくくりました。
終盤には、6名ずつグループに分かれてエシカル消費に関する意見交換を行いました。
【問1】今日着ている洋服はどこで作られたものですか?
中国製、ベトナム製、タイ製、カンボジア製など「安さ」に特化した海外製の衣服を選ぶ方が多数という結果に。「ファストファッションが主流となってきている今、『長く使えるものを選ぶ』という選択がエシカル消費につながると思う」という声も聞かれました。
【問2】すでにエシカル消費でやっていたことはありますか?
スーパーで賞味期限の短い商品を選ぶ、一人暮らしなので賞味期限の長いものを選びすべて使い切る、生協や地元の商店で買い物をする、エコバックやマイボトルを使用する、生ごみ処理機を使って肥料にするなど。「意識はしていなかったけど、考えてみたらエシカル消費だった!」という取り組みが多くあげられました。
【問3】エシカル消費を広めるためにはどうしたらいいと思いますか?
印象に残るような広告や授業を展開する、長野県のアンテナショップを知ってもらうことで地産地消につなげる、難しい言葉ではなく「日頃からやっていることが実はエシカル消費だよ」と子どもたちに伝える、夏休みに「エシカル消費を10個やってみよう!」と宿題を出し、ご家族を巻き込んで取り組んでもらうという教育者ならではの意見も。
エシカル消費を難しく考えず「できることからやってみよう」という心持ちで行動していくと、いつの間にか自分たちを取り巻く社会や環境が変わってくるのかもしれません。そして、今回の講演を通じて先生方から子どもたちへ、子どもたちからご家族へとエシカル消費が広まっていくのではないでしょうか。
<参加された方の感想>
・エシカル消費という言葉すら知らなかったのですが、とても勉強になりました。家に帰って家族と話してみたいと思いました。
・恥ずかしながら、初めて聞く言葉でしたが勉強になりました。自然に出来ていたこと、これからやっていくべきこと。出来ることから進めていきたいと思います。
・身近なことからやれることをやっていこうと思った。ちょっとしたことを変えることで、世界で起きている問題や課題の解決につながると思った。
・買い物の際に向こう側を意識していきたい。
・勉強不足でよく知らない分野でしたが、自分の生活に付加価値が付く(生きていくために購入するモノで誰かや地球の役に立つ)という意識が世界中に広まるとよいと思います。まさに「遠くにいきたければ、みんなで行け」です。
・環境への配慮だけでなく、製造元の国やそこで働く人々のことも考える、というのは本当に初めての視点で、まさに目から鱗でした。