NAGANO SDGs PROJECT主催

実施報告

SDGsとエシカル消費

団体名: 生活協同組合コープながの

開催概要

2024年10月23日(水)グリーン・ヒルズ小学校で出前授業を実施しました。

掲載日:2024年10月23日

テーマ:「SDGsとエシカル消費」


講 師:生活協同組合コープながの 組合員理事2名 大原麻瑞氏・宮下茎子氏


受講者:グリーン・ヒルズ小学校 3・4年生6名


「生活協同組合コープながの」さんによる授業が、飯綱高原の豊かな自然に囲まれたグリーン・ヒルズ小学校で開催され、同校の3・4年生が「SDGsとエシカル消費」について学びました。


生活協同組合とは、消費者自身が出資して運営されている団体で、生協とも言われています。全国で3000万人の組合員がいる消費者組織です。コープながのは長野県で3軒に1軒が組合員宅であると言われるほど、長野県で一番大きな消費者団体だそうです。主に宅配事業を行っているので、かわいい男の子のキャラクター(ほぺたん)が描かれたトラックが町中を走っています。宮下さんは「街中でトラックを見かけたら、これからお話することを思い出してくださいね」と児童たちに伝え、まずは「SDGs」について説明してくれました。


【SDGsってなあに?】


大原さんは小学生にもわかりやすい言葉とイラストで、紙芝居風にSDGsを解説してくれました。「今、地球はどうなっているの?」という問いから始まり、自分たちが生活の中で、地球に与えている影響や負荷を知りました。


例えば、私たちは日常で使う電気やガソリンのほか、工場などで使うガス、石油、石炭など化石燃料に頼る生活を送っていますが、そこから排出される二酸化炭素が原因で、地球の周りを包む温室効果ガスが暖かくなっています。


それが意味すること…それは「地球温暖化」です。その結果、北極の氷が溶けてしまったり、台風やゲリラ豪雨が増えてしまったり、逆に雨が降らずに野菜や果物が採れなくなってしまうこともあるのです。ほかにも人間が便利で快適な暮らしを追い求めるあまり、森や海で暮らす生き物たちの環境を壊してしまうなど、海も、陸も、空も、地球は本当に困ったことになっています。


また世界のどこかでは、今も紛争やテロが続いている現状があります。いつもその犠牲になるのは、みなさんと同じ「こども」なのです。


このままではいけない。みんながハッピーになるにはどうしたらいいのだろう?


そこで登場するのが、SDGsです。


2015年に国連総会で150を超える国のリーダーが参加し、みんなで団結して地球の危機を回避しようとつくられました。17個の目標(ゴール)を定め、先進国も開発途上国も「誰一人取り残さない」を合言葉に、2030年までに達成することを目指しています。


コープながのでは国連でSDGsが決まる前から、環境に優しい洗剤の開発や、缶から離れずゴミが出ない「ステイオンタブ」を日本でいち早く取り入れるなど、地球を守る商品づくりを行ってきました。現在も『コープSDGs行動宣言』として、ものをつくるところから買い物をして使うところまでを考えて、生活する人が幸せに暮らせるよう、SDGsが達成できるように取り組みを続けているそうです。


【SDGsとエシカル消費】


「SDGs目標の達成のためには世界や企業の取り組みも大切ですが、皆さん一人ひとりの行動が重要です」と大原さん。私たちにも取り組める身近な方法の一つとして、「エシカル消費」を紹介してくれました。


エシカル消費とは、お買い物をするときに「便利」「安い」といった自分の都合だけでなく、「どこで、誰が、どのように作っているのか」に配慮した消費行動です。「環境」や「社会」のことを考え、「だれかの笑顔」につながる選択をしてみることが、世界を、未来を変えていくことにつながります。


続いて、エシカル消費のための具体的な行動を教えてもらいました。


1)認証マークで選ぼう


環境に配慮した商品にはさまざまな「認証マーク」がついています。このマークがついた商品を選ぶことが、エシカル消費につながります。児童たちは、実際に商品パッケージについているマークを探し、その意味を考えるゲームを行い、知らないマークでも「葉っぱのマークだから地球にやさしい商品かな?」と予想する姿が見られました。


2)プラスチック問題を考えよう


海に流れ着く「海洋プラスチック」は年間800万トンにもおよび、2050年にはその量が海の生き物よりも多くなるという報告があがるほど、深刻な問題になっています。日本人1人あたりのプラ容器包装の廃棄量が世界で2番目に多く、プラスチックが日常にあふれている日本。私たちも「リフューズ(断る)」「リユース(繰り返し使用)」「リデュース(使用量削減)」「リサイクル(再生利用)」の「4R」を意識して、プラスチックごみを減らす課題に取り組むことが大切です。


3)食品ロスを減らそう


食品ロスとは、まだ食べられるのに、食べることなく捨てられてしまうこと。日本の家庭での年間食品ロス量(2021年)は236万トン。うち、43%が食べ残し、43%が直接廃棄(未開封のまま捨てる)とされます。買い物の際は食べられる量を買う、期限が間近な商品を選ぶなど、フードロス削減につながる行動を意識しましょう。


4)フェアトレードマークの商品を選ぼう


現在、学校でチョコレート原料のカカオについて学んでいるという児童たち。次はそのカカオと深く関わる「フェアトレード」のお話を聞きました。フェアトレードとは、発展途上国の農産物や製品などを、市場の価格で買い付けるのではなく、生産者の生活が成り立つように考慮した「フェア=公正な価格」で継続的に輸入し消費する取り組みです。大人の労働環境や生活が安定することで、子どもたちが労働から解放されて学校に行くことも可能になります。


5)コープながののプロジェクト


コープながのでは、モノをつくり・売る立場として、さまざまな問題の解決につながるプロジェクトに取り組んでいます。


中でも「ハッピーミルクプロジェクト」は、コープの牛乳の売上げの一部をユニセフに寄付し、アフリカの子どもたちの栄養改善を支援する取り組み。現在支援しているコートジボワールでは、およそ13人に1人が5歳の誕生日を迎えることができず、年間7万人もの子どもたちが主に栄養不良で命を落としています。プロジェクトで寄付されたお金は、健診、治療ができる保健センターを作ったり、そこで指導する職員を育成してお母さんたちに栄養や育児の知識を広めるために使われています。


★世界をハッピーにするための「マイアクション」は?


最後に、児童たちに今日聞いたお話の中で「これをやってみよう!」と考えたことを、それぞれ発表してもらいました。


・認証マークのついた商品を選んで購入する


・必要のないものは買わない、なるべくモノを捨てない


・食品を買う時は食べきれる分だけ!


・マイバックやマイボトルを使う


一人ひとりにできることは小さいかもしれませんが、今の地球の現状を知り行動する人が増えれば、私たちだけでなく未来の人たちにも「地球の命」をつなぐことができます。


「みなさんが今日をきっかけに、エシカルなお買い物や行動で、サステナブル(持続可能)な生活を始めてくれることを期待します」と、大原さんは授業を締めくくりました。


児童たちにとって今回の授業は、「みんながハッピーに過ごせる未来」の実現に向けて、一歩を変える行動のヒントを得るものになったのではないでしょうか。