信州大学教育学部附属長野中学校では、地域や企業、団体とのコラボレーションで社会貢献活動を行う「あさひのプロジェクト」という学校独自のプロジェクトに取り組んでいます。今回NSP事務局では、パラスポーツの楽しさを伝え、障がい者と健常者の懸け橋となるような「車いすバスケイベント」を計画するチーム「ふみちーず」のサポートをしていきます。
初夏から準備を重ねてきたプロジェクト・「わくわく!車いすバスケ体験会」が、11月9日(土)、柳町体育館にて本番を迎えました。当日は会場準備から司会進行まで、ふみちーずのメンバーが主体となって進めます。協力してくれたのは、信州大学の車いすバスケサークル「セローズ」の皆さん。全国大会優勝経験もある実力派チームです。
今回は新聞での事前告知効果もあり、小学生や地域の方、車いすユーザーの方など13名にご参加いただきました。参加者はビブス(ゼッケン)の色ごとに、ふみちーずとセローズを含めた10人前後の3チームに分かれ、さまざまな遊びを通して車いすの操作に慣れながら、最後にバスケの対戦にチャレンジします。チーム名はそれぞれ「チーム中華(青)」、「チームジョニー(緑)」、「チームラランド(橙)」です。
バスケットボール用車いすの特徴は、軽くて頑丈なフレームに、ハの字型についたタイヤと、足を守るためについているフロントのバンパー。さらに座席の後ろ部分に転倒防止用の小さなタイヤがついており、ブレーキはありません。この形が、くるくると回転しながらコートを走り回る軽快な動きや、プレイヤー同士の激しい攻防を可能にしています。いすの幅や高さなど形に微妙に違いがあるため、参加者は実際に座ってみてから自分の身体に合うものを選びました。
体操とストレッチを終えた後は、セローズの皆さんが基本の走行方法をレクチャーしてくれました。「まっすぐ走る」は難なくクリアする人が多いものの、その後に挑戦した「曲がる」、「ボールを持ったまま走る」などの操作は意外と難しく、苦戦する人もちらほら…。セローズの皆さんは瞬時に加速したり、その場でくるくると華麗に回転したりと、さすがの動きを見せてくれました。「練習すればこんな風にかっこよく動けるようになる…!?」期待を胸に、ゲームに取り組みます!
ゲーム❶しっぽ取りゲーム
まずは「しっぽ取りゲーム」に挑戦!着ていたビブスを車いすの背もたれと背中の間に挟み、参加者同士で取り合います。セローズの皆さんが持っている紫色のビブスはポイント2倍。最初は少し動きづらそうにしていた参加者の皆さんですが、少しずつ操作にも慣れ、スピードを上げて追いかけっこを楽しみます。
しかし、必死に追いかけるあまり、自分が持っているビブスを落としたまま気づかない人も…。しかも地面に落ちたビブスはものすごく拾いづらく、苦労する姿が。実際に車いすに乗ってみないと分からない学びがたくさんありました。
たくさんビブスをゲットできた人にはヒーローインタビュー!
ゲーム❷チーム対抗リレー
次のゲームは「チーム対抗リレー」です。折り返し地点に置かれたカラーコーンをくるっと回ってスタート地点に戻り、次のランナーに交代します。単純な動きに見えますが、車椅子で小回りを利かせるのはかなり難しそう。ボールを持つと、難易度はさらに上がります。
みんなで声を出して応援し、手こずっていたら手助けを。走っている間は1人ですが、協力プレイで全チーム見事に完走しました。
ゲーム❸車椅子バスケで対戦!
車いすの操作に慣れてきたところで、いよいよバスケで対戦です。車いすバスケは、ダブルドリブルが適用されないこと以外は一般のバスケとほとんど同ルール。ボールを持っているときに車いすを3回以上こぐとトラベリングとなりますが、今回は初心者イベントということで、トラベリングルールはなし。ボールはバスケットボールより小さくて軽いバレーボールを使いました。小学校低学年までの参加者は、バスケットゴール手前に置かれたミニゴール、それ以外の参加者は一般のバスケットゴールにシュートします。
試合は3チームの総当たり戦。チームごとに作戦を立てて、いざ、試合開始です!
年齢の低い参加者が多かった「チームラランド(橙)」は一見不利…かと思いきや、ちびっこシューターがミニゴール前に待ち構え、ボールを受け取って華麗にシュート!「チーム中華(青)」はスピード感あるボール運びと正確なシュート、「チームジョニー(緑)」は連携プレイでボールをゴールまでつなぎます。セローズの皆さんのBリーグさながらの実況マイクパフォーマンスも手伝って、ゲームは白熱。勝っても負けても楽しい試合でした!
途中の休憩タイムには、セローズの皆さんが試合のデモンストレーションを披露してくれました。相手チームがゴールに近づかないようダイナミックにディフェンスしたり、細かく車いすを動かしながらするするとディフェンスを抜けてシュートしたり。車いすの片輪を持ち上げて高さを出す「ティルティング」という高度な技も見られ、大迫力のデモ試合でした。
最後に皆で記念撮影をして、イベントは終了しました。参加者からは「おもしろかった!」「またやってみたい!」と嬉しい感想が。大成功に終わったのは、きっと、ふみちーずの全員が「どうしたら参加者の皆さんが楽しめるか」を真剣に考えて取り組んだからでしょう。
車いすバスケはさまざまな人が楽しめることはもちろん、競技としても面白くてかっこいいということを、参加者の皆さんにしっかり伝えることができました。
ご協力いただいたセローズの皆さん、そしてご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました!