上田染谷丘高校では「総合的な探究の時間」を使い、生徒一人一人が興味・関心のある物事にSDGsを絡めて調査・研究をしたり、地域の中でプロジェクトを企画・実行する探究学習に取り組んでいます。今回NSP事務局では、「地域の子どもたちとのかかわり」をテーマに結成された2年生3名のチーム・「子どものためのTANQ」をサポート。児童館で放課後を過ごす小学生を訪ね、楽しくSDGsを学べるボードゲーム「Get the Point」で一緒に遊びました。
>【こちらもぜひお読みください】「Get the Point」で子どもたちと楽しくSDGsを学びたい!上田染谷丘高校の探究学習をサポートしました。(前編)
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3人が訪れたのは上田市立東小学校の敷地内にある「東部児童クラブ」。今回はここで放課後を過ごすたくさんの小学生のうち6人の子どもたちと、学童の先生2人と一緒にGet the Pointで遊びます。
【Get the Point】とは・・・4人1組で行うゲーム。一人ずつ順番に「資源カード」を組み合わせて、食べ物・洋服・車・電子機器などの「アイテムカード」1枚と交換し、アイテムに付与されたポイントの合計点を競います。資源カードには「回復する資源」の木材・植物・動物と、「枯渇する資源」の鉄・レアメタル・化石燃料があります。好きなアイテムを好きなだけ作ることができますが、資源カードを使い切った時点でゲーム終了です。
高校生からの「一緒にゲームやろう!」の呼びかけに、「えー、なにそれ?」「今日はお迎え早いから、ちょっとだけだよー?」と少し渋る(笑)子どもたち。「きっと楽しいよ!」と盛り上げながらゲームの準備を進めます。
今回は2チームに分かれてゲームに挑戦。最初のゲームの目標は、「各チーム内で自分が一番ポイントをゲットする」ことです。目標を達成するため、遠慮せずに資源カードを取り合います。「えー、レアメタル全部使っちゃうの…」「ちょっと!そのカードを取るのは大人げないぞ!」と、小さな争いが勃発。先生も容赦なく高ポイントのアイテムカードをゲットしていきます。手番が後半の子は、泣く泣く残ったカードからアイテムを作ることに…。
1回目のゲームを終えて、「このゲーム、先にカードを取れる人の方が有利じゃない…?」と気づき始める子どもたち。そうそう、その「気づき」が大切なんです。
お互いにポイントを奪い合った最初のゲームとは打って変わり、2回目のゲームの目標は「10周目が終了した時に、相手チームよりも高得点を目指す」こと。11周目もゲームを継続できればクリアです。
1回目のゲームとは違った協力プレイ。片方のチームは枯渇してしまう資源の使用は抑えながら慎重にアイテムづくりを進める一方、もう片方のチームは枯渇する資源も積極的に使いながら高得点を狙います。
慎重派チームは、途中から保守派と革新派に分裂。「ポイントゲットのために、鉄も使っちゃいます~」「ちょっと、それは温存しようって言ったじゃん!」と意見を戦わせる場面がありながらも、皆で話し合い、時間をかけて作るアイテムを決めていきました。
積極派チームは、まず第一に「自分たちが作りたいもの」を作ることを優先。ですが、資源が減ってくると「今は少し我慢しようかな」と、少ない資源で作れるアイテムにシフトし、バランスを取りながらアイテム作りを行いました。
ゲームを進めていくと、「クライシス」というアクションが発生!Get the Pointでは、各チームの資源カードが密漁や災害などの要因によって奪われてしまったり、アイテムを作り出すために今までよりも多くの資源カードが必要になるなど、資源カードを持続させるのに不利なイベントが起こります。でもこれは、私たちが住む世界でも起こりうることですよね。クライシスを受けて子どもたちは大慌て。両チーム「何が起こった?」と確認しあいます。
クライシスにもめげずにゲーム進めていくと、次は「サスティナブル」というアクションが発生。枯渇してしまう資源カードが回復したり、回復する資源カードで代用できるようになったりと、資源カードを持続させるために有利なイベントが起こります。技術革新が起こったり、代わりに使える資源が見つかったりと、こちらもクライシスと同じように、現実でも起こりうることですね。
さまざまなイレギュラーを乗り越えて、無事目標の10周目を終えた子どもたち。「おまけ!」と最後に11周目の延長戦をして、僅差の点数でゲームを終えました。
「早い者勝ち」のルールは、誰かが我慢する結果につながってしまうということ。皆が納得しながら資源を活用するためには、たくさんの話し合いが必要だということ。「豊かな生活」と「持続可能な社会」は工夫次第で両立できるということ。今回のゲームで感じ取ってもらえたのではないでしょうか。
最初は消極的だった子どもたちも、高校生たちと遊ぶうちにだんだん夢中になり、最後にはお迎えに来た保護者の方に待ってもらってまで没頭する姿が見られました。
「ゲーム」という形でSDGsと触れ合うと、「自分たちの生活」と「世界の課題」が近づいたように感じますよね。参加してくれた子どもたちが今日感じたことや気づいたことが、今後、SDGs活動を実践していくうえで役に立つことを願います。
ゲーム会が終了してから「楽しんでくれてよかった」と笑顔を見せてくれた「子どものためのTANQ」チームの皆さん。ポイントを計算できていない子はいないか?ルールを理解できていない子はいないか?我慢してしまっている子はいないか?皆が楽しめるよう気を配りながら、子どもたちに声をかけ続けていました。「誰一人取り残さない」ゲーム会を成功させた皆さんの、さらなる活躍を楽しみにしています!